昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

出会ったときから、わたしは雨夜くんに、好ましい感情を抱いていたと思う。

かっこいいだけじゃなく、優しくて親切で。
そんな人のことを、悪く思うはずがない。


あがめるような気持ちだった。

でも尊敬の気持ちから、恋愛としての好きに変わり始めたのは……お家にお邪魔させてもらうことになったとき。


『あきらめたくなくて。だから治療費を稼ぐために、働きながら夜間に通う道を選んだんだ』


雨夜くんについて、うわべだけじゃないものを知ることができて。雨夜くんを、リアルな男の子だと意識した。


漫画にいるような、ただキラキラした二次元の男の子じゃない。生身なんだって。

そう思ったら、苦しいほどに胸が動いて、締め付けられた。


そして、好きを自覚したのは……一緒に行った、海。

雨夜くんといると、ドキドキして。キュンとして、ときめきが止まなくて。


でも、それだけじゃない。この人にどんな欠点があったって、弱さがあったって、受け止めたいなって。

愛おしいという気持ちを、はじめて知った。
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