昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
動悸がすごい。大丈夫だと言い聞かせれば言い聞かせるほど、過去の記憶たちがわたしをせせら笑ってくる。
体がふるえそうになって、Tシャツを握る手に力を込める。
「永田さん」
「……っ!」
すると雨夜くんの手が、わたしの手首をサッとつかんだ。
けっして強くない、けれどしっかり意志を持っていることがわかる力。
その所為で、過去の記憶たちが、ぴたりとうごめくのをやめて。雨夜くんの声が、ちゃんと耳に入ってくる。
「さっき俺、この近くに住んでるって言ったよね?」
「あ……」
「せっかくだから、見せたいところがあるんだ。ついてきてくれない?」
優しく笑って、立ち上がる雨夜くん。
手は離れないままだったから、自然とわたしも立ち上がるかたちになった。
そうして手を引かれるがまま、歩き出す。
屋外に出ても、雨夜くんの手が離れることはなかった。
雨夜くんはほどよい力で、そしてほどよいペースで……わたしをある場所まで導いた。
「ここなんだ」
雨夜くんが足を止めたのは、図書館から十五分ほど歩いたところにある、公園だった。
別段変わったところはない公園。
でも強いてめずらしい点を挙げるとすれば、すべり台などの遊具のほかに、バスケットゴールが置いてあるところ。