昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
ところどころ錆びて鉄色になったゴールが、公園の角のほうにしっかり腰を据えている。
「俺、中学のときバスケ部だったんだよね」
公園に入ったところで、そっと置くように、丁寧に離れる手。
雨夜くんが、こちらを振り返ってそう言った。
「部活だけじゃ物足りないときにここに来て、ひとりでシュート練習とかしてた」
「あ……」
――そうなんだね。バスケ部、雨夜くんにぴったり。
そんな言葉が頭の中には浮かぶけれど、今のわたしには、それを取り出してくる元気が足りない。
薄い反応しかできないわたしの前で、雨夜くんがシュートを打つマネをした。
とても綺麗なフォーム。伸びやかで、ボールが見えてくるよう。
それを見つめていたら、目にじんわりと、涙の膜が張ってきてしまった。
だって……雨夜くんが優しいから。
気づいていた。雨夜くんがわたしをここまで連れてきたのは、べつにバスケットゴールを見せたかったからじゃない。
わたしの異変を感じて、それで、避難させてくれたんだ。
「……永田さん。こっち」
必死に涙をこらえるわたしに手招きして、公園にあるベンチまで誘導してくれる雨夜くん。