視線が絡んで、熱になる【完結】
「腕時計…どこに?」
「俺の家。取りに来いよ」
「無理です!持ってきてください」
「嫌だね」

意地悪そうにそう言うと彼は自身の腕時計を見て息を吐いた。

「10分になるな、面談は以上。それからこれ、俺の電話番号。登録しておくように」
「…は、はい」

切り替わったようにそう言ってノートパソコンを手にすると会議室から出ていった。

「…なんなの…」

極度の緊張から解放され、しゃがみこむ。
手には柊から手渡された連絡先が書かれたメモがある。呆然とそれを見つめて何度目かの息を吐く。
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