エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 端的に返事をする月城さんは先ほどの件を知らせないつもりのようだ。私も心配かけたくないので黙っている。

 月城さんの提案でエンゲージリングは家でははずしていた。エンゲージリングをつけていたら、父は彼に申し訳ないと恐縮するからだろう。

 俺様でドSなのに、目上の人には気遣いを怠らない彼を私は尊敬し始めていた。

 外交官として厳しい社会経験を積んでいるからなのかもしれない。


 お風呂から上がって寝る支度をしていると、ドアが静かにノックされた。

 父がドアを叩いたのかと思って開けた瞬間、動きが止まる。

 目の前に立っていたのは、昨晩と似たようなルームウエアを着た月城さんだった。

 私も昨日と同じようなスタイルの色違いだったので、我に返るとドアに体を隠し顔だけひょっこり出す。

「どうしたんですか?」

「クッ、その格好は昨日すでに見ているんだが?」

「さ、昨晩は薄暗かったじゃないですか。ちょっと待ってくださいね」

 顔を引っ込め、カーディガンを羽織る。

「お待たせしました」

「テラスへ出るぞ」

「え? テラス?」

 月城さんは私の手首を掴むと、つかつかと部屋を突っきり、窓を開けた。

 テラスにはひとつのソファベッドとワインクーラーに入った白ワインの瓶、グラスが二脚用意されていた。

「月城さん……?」

「目には目を歯には歯を、だ」

「意味が?」
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