エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 キスシーンを見られて、顔が熱くなってくる。照れ隠しにミランダを通り越して通路を進む。

「そんな恥ずかしがらなくても。マカナはシャイね」

「日本人は慣れていないの」

「彼は慣れていたようだったわ。とってもさりげなかったし」

 ということは、引き寄せられるところから離れるところまでミランダに見られていたのだ。それをわかっていて、月城さんはキスをした?

 ミランダのその言葉は、私の気持ちを落ち込ませる。

 そりゃね……月城さんのような人ならば、女性が次から次へと来るでしょうよ。慣れているのは至極当然なのよ。

 え? 私の気持ちを落ち込ませる……?

 そんな……私は月城さんに惹かれているの……?

「マカナ? どうしたの? さっそく寂しくなったのかしら?」

 隣を歩くミランダに覗き込まれ、考えにふけっていたことに気づく。

「かも……」

 無難な答えを口にした。

「彼って、なにをしている人? マカナが仕事をしている間、暇じゃないの?」

「あ、外交官なの」

「わお! 外交官。マカナのお父さんは領事だし、縁があるのね」

 更衣室でもミランダの好奇心は止まらず、着替える間もずっと話続けていた。


 その日、就業時間を終えた私を迎えにきたのは父だった。

「お父さん!」

「おつかれ。月城くんの仕事が終わらなくてね。私が迎えにきたんだよ」

〝私が〟と言っても、領事の専用車だ。
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