エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
父と並んで後部座席に乗り込むと、車が静かに走り出す。
「それは……?」
父が私の左手の薬指にはまっているリングを注視している。
予告なしの父の迎えに、すっかりエンゲージリングを外すのを忘れていた。
「あ……」
薄暗い車内でもダイヤモンドが輝いている。
「これは……月城さんがカモフラージュで用意してくれたの」
「高価そうだが……」
月城さんの懸念通り、父は困惑している様子だ。
「……うん。ちゃんと返すから安心して」
理由はどうであれ、一度女性が身につけたものをほかの女性に渡す彼だとは思わないが、そのつもりだった。
「お前もつらいだろう。私の立場を考えて耐えていたんだなと思うと、胸が苦しくなる」
「お父さん、平気だから。月城さんのおかげでハーキム氏は現れなくなったの。安心して」
「盗聴器の件もあの男がやったという証拠はない。あからさまなこともされていないから出るにも出られず……」
父は深いため息をひとつこぼして、私の手に手を重ねてポンポンと軽く触れた。
「お父さん。ハーキム氏は狡猾に進めていたから。月城さんには迷惑をかけてしまって、お礼をしなくちゃ」
「そうだな。そうしよう」
車内の空気が重苦しいまま自宅に到着した。駐車場に私の車が止まっている。月城さんが乗っていかなかったのはお酒の席だからだろうと推測した。
彼が戻ってきたのは二十二時を過ぎていた。
「それは……?」
父が私の左手の薬指にはまっているリングを注視している。
予告なしの父の迎えに、すっかりエンゲージリングを外すのを忘れていた。
「あ……」
薄暗い車内でもダイヤモンドが輝いている。
「これは……月城さんがカモフラージュで用意してくれたの」
「高価そうだが……」
月城さんの懸念通り、父は困惑している様子だ。
「……うん。ちゃんと返すから安心して」
理由はどうであれ、一度女性が身につけたものをほかの女性に渡す彼だとは思わないが、そのつもりだった。
「お前もつらいだろう。私の立場を考えて耐えていたんだなと思うと、胸が苦しくなる」
「お父さん、平気だから。月城さんのおかげでハーキム氏は現れなくなったの。安心して」
「盗聴器の件もあの男がやったという証拠はない。あからさまなこともされていないから出るにも出られず……」
父は深いため息をひとつこぼして、私の手に手を重ねてポンポンと軽く触れた。
「お父さん。ハーキム氏は狡猾に進めていたから。月城さんには迷惑をかけてしまって、お礼をしなくちゃ」
「そうだな。そうしよう」
車内の空気が重苦しいまま自宅に到着した。駐車場に私の車が止まっている。月城さんが乗っていかなかったのはお酒の席だからだろうと推測した。
彼が戻ってきたのは二十二時を過ぎていた。