君は残酷な幸福を乞う
「そうだよ!俺は常に何をしてても、若葉のことばっか考えてるよ!」
「そうなの?」
「そうだよ」

「嘘……私だけじゃないんだぁ…
どうしよう……嬉しい…!」
自然と涙が出てくる若葉。
琉軌が若葉の目元にキスをする。

「ほんとは片時も離れたくないんだよ……」

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ランチを済ませて、街を手を繋いで歩く。
それだけで胸が高鳴る。
「若葉、もう少ししたらちょっと抜けるから、一度マンションに帰ろ?」
「え?この辺で一人でぷらぷらしながら、待ってるよ!」

「それはダメだ!!」

「え?」
「一人で街に?
あり得ない……!」
繋いでいた手を更に握りしめてきた、琉軌。
「え…痛い……離して!琉軌」
思わず顔を歪め、琉軌に訴える。

「瑞夫、車!」
「了解」
ずっと後ろに控えていた瑞夫を呼んだ。
車が脇に着くと、少々強引に若葉を車に押し込めた琉軌。
そして自分も乗り込んだ。

「琉軌!痛いよ!何!?」
「若葉」
そして窓に若葉を押しつけた。
「え……この目…」
あの鋭い目だ。

「なんで若葉を毎日、送り迎えしてるかわかってる?」
「え?」
「若葉が俺の女って知れ渡ってるの。
だからね、若葉は俺の弱点だと思われてる。
若葉を賞金首にしてるヤクザもいるし。
まぁ……たいがいの奴はそんな命知らずなことしないけど、時々いるんだよなぁ“バカなクズが!!”」

「………」
「だから、若葉を決して一人にはしない!何があっても……
わかった?
もう……一人で街をぷらぷらなんて、胸くそ悪いこと言わないでね!」

「は、はい…」
「ん。いい子!!」
漸く、いつもの優しい琉軌に戻ったのだった。
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