君は残酷な幸福を乞う
犯罪
ある日の仕事中の昼休みのことだった━━━━

「久しぶり、若葉ちゃん」
「え?あ!李々子さん!
お久しぶりです!お元気ですか?」
「えぇ…身体はね……」
「え?身体は?
……って、どうゆう……」
「少し…話せないかしら……?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「え?お金ですか?」
「えぇ…このままじゃ、施設が潰れそうなの」
「…………わかりました。
李々子さんには沢山お世話になったし、できる限りのことはしたいです!」
申し訳なさそうに話す李々子に、ニコッと微笑んで了承した若葉だった。

「琉軌にも相談しましょうか?
そしたら、どうにかしてくれるかも?」
「あ!琉軌くんには、言わないで?」
「え……?」
「二人だけの秘密にしてくれる?」
「わかりました」

職場に戻った、若葉。

「李々子、どうだった?」
近くで待機していた男。
実は李々子の年下の恋人で、仕事もしてないヒモ男なのだ。
李々子は散々尽くし、とうとうお金が尽きていた。
別れを切り出されたが別れたくなくて、若葉を頼って来たのだ。

「えぇ…貸してくれるって」
「やったじゃん!」
「でも、一回だけよ!
若葉ちゃんは、私の娘みたいな子なの。これ以上……迷惑かけたくないから!」
「わかってるよ!」

でも━━━━━━━
すぐに借りたお金も使い果たし、何度も若葉の元を訪れる李々子。
さすがの若葉も、おかしいと感じ李々子を問いただした。

「李々子さん、どうしたんですか?
おかしいですよ?騙されてるんじゃ……いくら施設の為でもあまりにも……」
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