君は残酷な幸福を乞う
「彼氏って、何してる人なの?」
「え?」
「スッゴいカッコいいよね~!」
「あ、サラリーマンですよ」
琉軌は自分の職業を“サラリーマン”と言っているので、若葉もそう言うようにしている。

「あんな人が一緒の職場だったらいいよね~」

琉軌のことを褒められているのに、若葉は言葉にならない嫉妬で、埋もれそうになっていた。

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「おかえりなさい!琉軌」
「ただいま!」
帰ってきた琉軌に早速抱きつく、若葉。

「どうしたの?」
若葉を抱きとめて、頭を撫で言った琉軌。
「寂しいの…」
「そう…じゃあ、どうしたら落ち着くかな?」

「抱かれたら、落ち着くよ」
「そう?じゃあ…ベット行く?」
「うん…あ、でも先にお風呂入りたい……」
「じゃあ…一緒に入ろ?」

身体を洗い合って、浴槽に並んで浸かっている二人。
「琉軌ってカッコいいね、だって!」
「ん?誰が?」
横から、若葉のこめかみにキスをする琉軌。

「職場の同僚」
「ふーん。喜んでいいのかな?」
「嬉しい?」
「そうだな。嬉しくないわけじゃないよ。
……………でも、若葉だけに言われたいなぁ」
こめかみから耳、頬へキスを降らせまた耳に口唇を寄せて囁いた。

「カッコいい…琉軌はカッコいいよ……!」
琉軌に向き直り、琉軌の口唇に口唇を寄せて囁いた。
そのまま口唇が重なり、深くなる。

「ん…若葉は…可愛い……」
「お願い、琉軌…私だけを見て……?」
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