君は残酷な幸福を乞う
「んんっ…!!琉…軌ぃ……」
「若葉」
「不…安なの…」
「ん?」
「捨てられそうで……」

ベッドに移動して、繋がっている二人。
ベッドのスプリングの音の中、若葉の苦しい思いが響いていく。

「捨てる?誰が、誰を?」
琉軌の動きが止まり、組み敷いていた若葉の目を覗き込んだ。
「……っ…」

琉軌の鋭い目━━━━━━━━━

若葉は琉軌のこの目が嫌いだ。
“蛇に睨まれた蛙”とはこうゆうことなのだろうと思える程に、恐怖で動けなくなるのだ。

「言って?」
「━━━━━!!!
んんっ…!!」
「誰が」
「んぁっ!!」
「誰を?」
更に奥まで突かれて、思わずシーツを握りしめる若葉。

「ほらっ!!言って?若葉」
「琉、軌が…私…を……」
「それ…言わない約束だよね?」
「だって……」

「まだ…わかんないのかな~?
俺は若葉を絶対、放さない。
例えこの先、地獄へ突き落とすことになっても……一緒に落ちてもらうよ!」

そんな覚悟はとっくにできている。
でも同僚に“彼氏、カッコいいね!”と言われる、ただそれだけのことで嫉妬に埋もれ息ができないのだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「お腹すいたね…」
「そうだな。リビング行こうか?」
ガウンを羽織った琉軌が、若葉に向き直る。

「…………」
無言で見上げる、若葉。
「若葉?」
「服…着せて?」
「フフ…はい!」
クローゼットから若葉のネグリジェを取り出し、琉軌が着せる。

「ありがと」
「どういたしまして!」
「歩けない…」
「はい!どうぞ?おいで?」
若葉を軽々抱き上げた。

「なんで、怒んないの?」
「可愛いから!怒る理由がない」
「ほんとに何でも言うこと聞いてくれるね、琉軌」

「うん、若葉のお願い大歓迎!
できる限り、聞いてあげる」
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