君は残酷な幸福を乞う
独占
土曜日。
朝から出かけ、ショッピングに来ていた。
若葉は服を試着している。

「どう?これ」
「んー、可愛いけど…もう少し、丈の長いのにして?」
「えー!可愛いんでしょ?じゃあ、いいでしょ?」
「だって……」
琉軌は試着室にそのまま若葉を押し込むようにして、一緒に入った。

「え……琉、軌?」
「こんな綺麗な若葉を、これ以上…誰にも見せたくないんだよ……!
お願い……俺のお願い、聞いて?」
グッと琉軌の綺麗な顔を近づく。
すがるような琉軌の甘い声。
思わず、ドキッと胸が高鳴った若葉。

「や…顔、近いよ……」
「お願い…」
短いスカートから、琉軌の大きな手が入っていく。
「ちょっ…やめ……」
「ほら、こんな風にすぐに手が入ってくよ…?」
「わかった!違う服にするから…やめて…」
「フフ…わかった!」
そこで解放され、違うワンピースを購入して外に出た。

そして水族館へ。
「綺麗だね~!」
「そうだね。若葉も綺麗だよ!
なんか、キラキラしてる……!」
「フフ…ありがとう!
……………ねぇ…」
「ん?なぁに?若葉」
微笑み合って、若葉はふと気づく。
「なんで、誰もいないの?この水族館」

「ん?
あー、貸しきりにしたからだよ!」

「そうなんだぁ!
………って、嘘!?」
「だって、誰にも邪魔されたくないから……」
「え?琉軌…?」
「ここには、俺と若葉の二人だけ……
だから、こんなこともできるよ?」
琉軌は若葉の頬に手を添えて、口唇を重ねた。

次第に深くなっていく、二人。
「ンン…琉……」
「……可愛い…若葉。
もう…一回……」
「恥ずかしい…」
「ダメ……言ったよね?
嫌がることはしない…でもキス、嫌じゃないよね…?」

それから何度も、深いキスをした二人だった。

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