ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「ごめんって!てか、オレが女の子大好きってどういうこと!?」


「え、だって小学校のころから女友達多かったじゃん……」


「そ、それは単に話すだけで……と、とにかく!オレはべつに女遊びしたいとか、女好きってわけじゃねーの!」

「そうなの?」

「そうなんだよ!てかオレ好きな子にはめっっっちゃ一途だし!」


おお!土方くん言ったああああ!


「そうなの?てか好きな子いたんだ?」


グサッ。


「話しやすいし、見た目もカッコイイほうなのに。告白はしないの?」


「お、オレが告白してもいいの?」


「え、うん……てかなんで私に聞くの?」


グサッ。


「……」

「……」


「お、オレのこと、恋愛対象に見てくれてないんだよ……」


なんでオレ、好きな子に恋愛相談してんの……なんて、渚や私にしか聞こえないくらい小さい声でつぶやいた土方くん。

もう今にも涙落ちそう……。


「へー、こんな一途に想われてるのに。その子も鈍感だねえ」


土方のこと、好きにならない女子とかいるんだ。


「……」


グサグサグサッ!!


「ううっ……」


那咲……もうやめたげて。

土方くん、蹲っちゃった……。

もう土方くんのHPは-100だよ……。


「森山……」


あの渚ですら土方くんに哀れみの目を向けてる。

す、救いようがない……。


もう腹括って、覚悟決めて、告白するのが一番意識してもらえる方法なんじゃないかと思う。


「え、みんなそれどういう顔?
てか土方大丈夫?保健室行く?」


「看病してもらいたい……」


きっとその言葉の後ろには、那咲に、が入るのかな。

がんばれ、土方くん。

あきらめるな、土方くん!
< 208 / 332 >

この作品をシェア

pagetop