ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「ちょっと、慣れてきた?」

「ん……」


「よしよし。じゃあ、ここも、ちょっとさわってみるな」

「ふっ、あ……」


そう言ってふれたのは、腰から太ももにかけて。


「前に鎖骨とか胸元とかはふれたことあったけど、ここはなかったから。大丈夫?」


「っ、ん……」

「大丈夫だよ。ぜんぶ俺に預けて」


ぽろりと落ちた涙をつたって、濡れたまぶたに、目尻にキスが落とされる。


「もう一回、このままキスしてみような」


ふれる手は、性急どころか、安心させるかのように、よりいっそうゆっくりふれてくれる。


「ふっ、はぁ……っ」


渚、キス、うますぎ……。

頭も体もとろとろにとけそうになる。


あつい……体中が沸騰しそうなほど、あつい……。

汗が全身から噴き出してるみたい。


「なぎさ……っ、」

「うん?」


「あ、の……っ、」


シャツ、脱ごうなとは言っていたけど、まだ脱いでない。

ボタンもリボンも、ちゃんとしたまま。

なのに。

自分から、脱いでいい?なんて……。


「どうした?」

「……」


言えない。はずかしくて、言えない。

身も心もとっくに渚に溶かされてるのに、私の心にブレーキがかかる。


「言っただろ」

「っ、え……?」

「甘やかすって」
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