俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
 先に車を降り助手席のドアを開ける。いつもはしないのだが今日は美桜がドレスで動きづらいことを想定して先回りして動く。「ふふっ、お姫様になったみたい」と無邪気な発言をしながら車を降りる美桜に俺は胸がキュンと痛くなる。

(か、可愛すぎるだろ、俺の奥さん。こんなに喜んでくれるなら毎回助手席のドア開けるわ……)

 久しぶりに訪れたジュエリーショップはやっぱり緊張感の漂う品溢れる空間。すぐにスタッフの方が気づいてくれ「高林様、御来店ありがとう御座います。只今お持ちいたしますね」と案内してくれた。たった一回しか来店してないのに客の顔を覚えてくれているなんて、プロフェッショナルだな……

 ほんの数分待っただけなのに「大変お待たせ致しました」と先程のスタッフの方が小さな箱を大切そうに運んできてくれた。その心遣いだけで嬉しく、心がホッとあたたかくなる。
 箱を開け派手に大きな宝石がついているわけではないのに煌びやかに輝いて見える指輪が二つ並んでいる。「では、ご確認下さい」とスタッフの方に言われお互いに刻印された文字を確認し、「大丈夫です」とスタッフに伝えた。
 丁寧にラッピングされ、上品で光沢のある紙袋にそっとしまわれ「おめでとうございます」と手渡された指輪。嬉しくて美桜と顔を合わせ微笑み「ありがとうございました」と御礼を伝えて店を出た。
 ほんの数十分のやり取りだったが今日という日を盛大にスタッフの方に祝ってもらったような気がして嬉しさで身体中が充満されたような高揚感で満ち溢れた。
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