俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
「なんだか凄い緊張しちゃったなぁ。ねぇ! 隆ちゃんは指輪の裏になんて刻印したの? 出来上がってからのお楽しみって言ってたよね!」

 シートベルトを締めながら俺の刻印した文字が気になるらしく問いただされる。俺だって美桜がなんて刻印したか気になるけれど言うタイミングは今じゃない。「ん〜なんだったかなぁ〜」と誤魔化した。もちろんそんな返答じゃ納得しない美桜は何度も聞いていたが誤魔化し続けた。

 段々と陽が落ちて薄暗く、街頭の明かりがざわつき始めた。すれ違う車のヘッドライトの明かりが更に街を明るくさせるが目的地に着いたときにはもう既に空は真っ暗で闇の中にポツポツと光る星が街の人工的な光に負けじと輝いていた。

「ん、着いたよ」

「へ? ここって隆ちゃんとお見合いしたホテル? どうゆーこと?」

「今日はここに泊まるよ。結婚祝いをしようと思って予約しておいたんだ」

 美桜と初めて出会ったこの場所。この思い出のホテルで美桜と今日という大切な夫婦としての門出を祝いたい。もう十八日に入籍すると決めた時にこのホテルのスイートルームを予約しておいたのだ。

「本当!? 嬉しいなぁ。ありがとう隆ちゃん」

「じゃ、行こうか……」

 お姫様と言おうとしたけど恥ずかし過ぎて言葉を飲み込んだ。代わりに助手席のドアを開け手を伸ばすと嬉しそうに微笑みながら俺の手をとる美桜。控えめに言って可愛すぎる。いや、今日は綺麗すぎる。
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