すべてが始まる夜に
建物の中はギャラリーカフェとして使われていただけあって天井が高く、とても広かった。窓は低い位置にあるものの、主張しすぎない太陽の光と窓から見える庭の景色のバランスが絶妙で、外観からでは想像もできないくらいの居心地のいい空間だ。
カフェスペースとして使われてたと思われる場所には、一枚板の大きなテーブルと十脚の椅子、そしてその周りには小さな4人掛けのテーブル席が配置されている。そしてギャラリースペースには、風景画や花の絵が飾られてあった。
「はい、コーヒーをどうぞ。久しぶりに淹れたから少し腕が鈍ったかしら」
ふふふっと笑いながらテーブルの上にカップを置いてくれる。ふわりとコーヒーのいい香りが漂ってきた。
「すみません。ありがとうございます。あの、如月さんご挨拶させていただいてもよろしいでしょうか」
私は席を立ち、スーツのポケットの中から名刺入れを取り出した。
「エムズコーポレーションの白石茉里と申します。このたび、こちらの新店舗カフェの担当をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願い致します」
名刺を差し出し、頭を下げる。
すると如月さんは優しい笑顔で丁寧に挨拶をしてくれた。
「私は如月美佐子と申します。こちらこそよろしくお願いいたします。若くて可愛いお嬢さんがこのカフェを担当してくださるのね。楽しみだわ。あら、あなたも東京なの? 福岡じゃなくて?」
如月さんは名刺と私の顔を交互に見ている。
「はい、松永部長……、いえ、上司の松永と一緒に東京から参りました」
「あら、松永くんの部下の方なのね。松永くん、こんな可愛いお嬢さんが部下だと仕事をしていても楽しいでしょ。東京に行って良かったわね」
「如月さん、何を言ってるんですか。仕事するのにそんなのは関係ないですから」
「あらあら照れちゃって。あなたもいい歳なんだからそろそろ結婚も考えなきゃいけないでしょ。私のこういう勘は当たるのよ。年の甲ってやつかしら。ねぇ、白石さん」
私はどういうリアクションをしていいかわからず、作り笑いを浮かべながらただ微笑んでいるだけだった。
カフェスペースとして使われてたと思われる場所には、一枚板の大きなテーブルと十脚の椅子、そしてその周りには小さな4人掛けのテーブル席が配置されている。そしてギャラリースペースには、風景画や花の絵が飾られてあった。
「はい、コーヒーをどうぞ。久しぶりに淹れたから少し腕が鈍ったかしら」
ふふふっと笑いながらテーブルの上にカップを置いてくれる。ふわりとコーヒーのいい香りが漂ってきた。
「すみません。ありがとうございます。あの、如月さんご挨拶させていただいてもよろしいでしょうか」
私は席を立ち、スーツのポケットの中から名刺入れを取り出した。
「エムズコーポレーションの白石茉里と申します。このたび、こちらの新店舗カフェの担当をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願い致します」
名刺を差し出し、頭を下げる。
すると如月さんは優しい笑顔で丁寧に挨拶をしてくれた。
「私は如月美佐子と申します。こちらこそよろしくお願いいたします。若くて可愛いお嬢さんがこのカフェを担当してくださるのね。楽しみだわ。あら、あなたも東京なの? 福岡じゃなくて?」
如月さんは名刺と私の顔を交互に見ている。
「はい、松永部長……、いえ、上司の松永と一緒に東京から参りました」
「あら、松永くんの部下の方なのね。松永くん、こんな可愛いお嬢さんが部下だと仕事をしていても楽しいでしょ。東京に行って良かったわね」
「如月さん、何を言ってるんですか。仕事するのにそんなのは関係ないですから」
「あらあら照れちゃって。あなたもいい歳なんだからそろそろ結婚も考えなきゃいけないでしょ。私のこういう勘は当たるのよ。年の甲ってやつかしら。ねぇ、白石さん」
私はどういうリアクションをしていいかわからず、作り笑いを浮かべながらただ微笑んでいるだけだった。