すべてが始まる夜に
「女性ってほんと甘いものが好きだよな。こういうメニュー見てると楽しそうだもんな」

「吉村くんは甘いもの好きじゃないの?」

「嫌いなわけじゃないけど別にそこまで好きじゃないっていうか、こういう店に入って食べるなら俺はスイーツよりがっつりごはん系かな。それか飲み物だけとか」

「へぇー、そうなんだ」

吉村くんはスイーツよりごはん系なのか……。
普通、一般の男性ってそういうものなのかな?
部長なんて甘いプリンが大好きなのにな。
それに私がパンケーキとアップルパイで悩んでたら、「2つ頼んではんぶんこするか?」なんて提案してくれて、部長も美味しそうに食べてたもんね。
甘いもの好きって言ってたし、部長は男性でも珍しいのかも……。
思い出すとなんだか部長が可愛く思えてきて笑ってしまう。

「白石、なんか可笑しいことでもあるのか?」

「あっ、ううん。ちょっと思い出し笑い……。じゃあ私はやっぱりパンケーキにする。店内のお客さんも結構このパンケーキ頼んでいるみたいだもんね。私はパンケーキとカフェオレ……じゃなくてブレンドにしよっと。吉村くんは?」

「俺はアイスコーヒー」

「えっ? 何も食べないの? コーヒーだけ? ごはん系だと……あっ、今の時間はランチメニューは頼めないんだね。となると……ふわふわオムレツか、チェダーチーズバーガーか、甘くないパンケーキもあるよ。上にソーセージと目玉焼きが乗ってるやつ。せっかくだから何か食べない?」

「じゃあ、チェダーチーズバーガーにしよっかな」

すみません──と店員さんを呼んでメニューを注文する。注文を終えて落ち着いたところで、私はこの間からひとつ気になっていることを吉村くんに尋ねた。
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