すべてが始まる夜に
「それにしても葉子さん、やっと俺の彼女になってくれたってことは、松永部長は片想いだったってことですか?」

「私もそこが気になったの。あんなイケメンな松永部長でも片想いするのかな?」

「そうですよね。どんな彼女なんですかね?」

「私もそれ気になる!」

葉子と若菜ちゃんが盛り上がる中、私は何も言うことができず、今は部長の相手が私だとバレないようにとただひたすら願っていた。

「あとそうそう、彼女からネクタイプレゼントされたって言ってたから、松永部長に女性がネクタイをプレゼントする意味を教えてあげたの。そしたらすごくうれしそうな顔してね。見ていてこっちが恥ずかしくなるくらい。一度でいいからあんなイケメンに甘々に愛されてみたいわ」

「私も甘々デレデレの松永部長を見てみたいです」

「でも若菜ちゃん、あれは相当独占欲強そうだよ。彼女しか見えてなさそうだったもん」

「松永部長だったら独占欲強くても全然OKじゃないですか? 彼女うらやましいなあ」

葉子と若菜ちゃんの会話を聞きながら、私はひとつ気になることがあった。
女性がネクタイをプレゼントするのに、何の意味があるんだろう。
ただの贈り物じゃないのだろうか?
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