すべてが始まる夜に
予定外の週末
上野駅を降りていつも利用するスーパーに到着すると、ちょうどタイムセールの時間になったのか、店内はかなりの人で賑わっていた。

週末は久しぶりにクリームシチューが食べたいなと白菜や鶏肉、きのこやブロッコリーなどをカゴに入れていく。途中でやっぱりシチューはやめてお鍋にしようかと迷いつつ、どっちでも作れるようにと長ネギとお豆腐も追加した。そして今日の夜ごはん用に冷凍のナスとトマトのパスタとサラダも追加して、いつもより多く食材を買い込んだ。

あー、重たい。
少し買いすぎたかな。

ぎっしりと食材が入って大きく膨らんだ買い物袋を反対の手に持ち替える。

えっと、明日はシチュー作って食べるでしょ。
日曜日もシチューが残るからそれを食べて……、月曜日はお鍋にしようかな。
でもお豆腐買っちゃったし、やっぱりシチューよりお鍋を先に作ろうかな。
それと確か冷凍庫に豚肉が残っていたから、白菜ときのこと長ネギ使って餡かけの野菜炒めも作れそうだよね。

色々メニューを考えながらマンションまでの道を歩いて帰る。駅前ということもあり街灯も多く明るいけれど、夜になるとどうしても少し怖く感じてしまう。私は少し早足で歩き始めた。

夜道を早足で歩きながら、先週の夜、部長と一緒に歩いて帰ったことが思い出される。

そういえばこの道を部長と一緒に歩いて帰ったんだよね。

一週間経つと段々と記憶が薄れてくるせいか、実はあの日の出来事は夢だったんじゃないかと思えてくる。なんか不思議な感じだ。
でもこの一週間私は日課のように、どうやって松永部長に謝ろうかということばかりずっと考えていた。
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