愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
お互いの名前は、通話を終える頃になってやっと名乗りあって、それもまた笑いのネタとなったり。
そうして、次の土曜日にふたりで逢う約束を交わして、8時間にも及ぶ通話を切った。
ーー彼の名前は「ユキ」と言うらしい。
心の中で何度も彼の名を呼んではキャーッとなってニヤニヤする。
もう、眠れるわけがなかった。
日付が変わったので、今日は月曜日。
…早く土曜日にならないかな。
その土曜日に、わたしの日常が、
いや、人生がぐるりと変わることになるとはこの時のわたしは知るよしもなかったーー。