愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜

『僕そんな遊んでるように見えるかなぁ』ケータイの向こうで唸ってしまったイケボさん。

あ、しまった。

「いっ、いえ!遊んでるように見えるとは違うんですけど…、普通に凄くモテそうだからっ」

スラリとしたモデル並みのスタイルに、思わず触れたくなるようなふわふわとした薄茶色の髪。
チラッと見上げた顔面もかなり整っていたし、イケボだし、性格だってこの通りだ。

むしろモテない要素を探す方が難しいんじゃないだろうかーーー。

『ーー自分で言うのって感じ悪いかもだけど、確かにモテなくはないかな。でも僕、まだ誰とも付き合った事ないんだよね…』

その意外過ぎる発言に、

「…は?」

つい野太い地声が出てしまった。

『やっぱり引く?付き合ったことない男って』

「え、いやいやいや!引くのとは違いますけど、その顔やスタイル持ってるのに誰とも付き合った事ないって言われても…。もしかして、理想高かったりします?」

『ん〜、どうだろう?そんな事もないと思うんだけどなぁ。でも、確かに今までは「この子だ!」って子は僕の前には現れなかったなぁ』

「やっぱり理想高いんじゃ…」

『違うから』

それから話の波に乗ったわたしたちは、時間を忘れて色んな事を話した。

子供の頃好きだった漫画やアニメから、流行った遊びや食べ物の好き嫌いや、いまハマってる音楽などなど。

眠るのも忘れてお互い夢中で話して笑って。

ひと通り話し終えた頃にはもう夜明けを迎えていた。


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