愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
「さぁ、乗って」
そう言ってスマートに助手席のドアを開けてわたしを座らせて、自身も素早く運転席に着席すると車を走らせた。
わたしがとにかく緊張しているとユキが
「そんなに緊張しないで?僕まで緊張してくる」
と言ってフフッと微笑った。
「あっ…、ご、ごめんなさい」
「ああ、全然謝る必要はないんだけど…意外だなって」
「え?」
意外?
「悪い意味じゃないんだけどね?…ランは慣れてると思ってたから。こういう、デート?」
「そ、そんなこと、ない…っ」
確かに男は切らしたことはないけど、こんなにドキドキするのは初めてですっ!!
…とは、言えないけど。
「ハハッ、そうか。良かった、ランが男慣れしてなくて」
「そ、そう言うユキこそっ!今まで助手席に何人の女の子を乗せてきたんだか」
意地悪を言ったつもり。だったのに…
「初めてだよ」
「…え?」
「助手席に女の子乗せたの。初めて」
…まさかの、応え。