愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
わたしが「信じられない」みたいな表情でユキを凝視していると、ユキは真っ直ぐ前を向いたまま、
「言ったろ?今まで「この子だ!」って思う女の子がいなかったって」
とても、とても柔らかな話し方で。
と言う事は、わたしはそんなユキのおめがねに叶った初めての女ってこと?
嬉しいっ!!…筈だった。
でも、それなのに、そんなユキに何だか初めて違和感を抱いてしまった。
…なんで、わたしなんだろう。
決して自分を過小評価するつもりはないけれど、わたしは誰が見ても『病んでいる』。
…メンヘラ女がタイプなのかな?
そんな事を考えていたら、まだ建ててそう時間が経ってないだろう真新しいコンクリート剥き出しの一軒家の広い駐車場に車が停まった。
「え…?」
「どうしたの?着いたよ」
呆然としているわたしの顔を不思議そうに覗きこむユキ。
「や、わたしてっきり一人暮らしのアパートとかだとばっかり…。実家だとは思わなかったからーー」
「ひとり暮らしだよ?」
「え、」
「ここ、僕の家。僕に家族なんていないから」
さ、早く車から降りて家に入ろう。
そう促され、ふらふらっとユキに操られてるかのように車から降りて玄関に向かう。
何か、何かがおかしい。
頭がぐるぐるする。
「さぁ、どうぞ入って」
ユキがそう言って自宅だと言う玄関のドアを開けた時にはもう操り糸でわたしの体はがんじがらめで。
逃げられなかったーーー。