愛しの鳥籠〜籠のカギ篇〜
それでもわたしは折れない。
「…嫌よ。もっと、もっとわたしを縛って。おかしくして。誰の目にも映さないようにして。ユキだけのわたしにしてよ」
「もうランは、僕だけのランでしょ?」
「お願い…ユキ…」
「じゃあ、トイレの世話させてくれる…?」
「それは絶対に嫌」
アアソウデスカ。とわざとらしくユキは肩を落として見せるけど、それとこれとは話しは別よっ!
ふぅ。と、軽いため息ひとつ吐くとわたしに向かって「わかったよ」と言うなり素早く各部屋に行き開けたばかりの雨戸とカーテンを閉めて『いつも通り』ガッチリと施錠をしてゆく。
全部終えたあと、わたしと向き合う形で立つと
「…壊しちゃったかな」
心配そうな表情なのに、でも心底嬉しそうな声でユキはわたしの瞳をジッと視た。
何のことかとキョトンとするわたしにもう一度キスをすると、今度こそ出勤する為に玄関へと向かう。
そんなユキに勢い良く抱き着き、嘘偽りの無い満面の笑みで、更に偽りの無いこの言葉をーー、