あなたの隣を独り占めしたい(続編まで完結)
(デートってこんなに安心感のあるものだったんだ。私が先回りして気遣わなくても、佐伯さんは何も要求してこない)
飲み物の心配も、目的地への行き方も、お店の下調べも、圭吾と付き合っている時は全部私の役割だった。
運転をお任せするのだからそれは私の役目なんだろうと疑いもしなかったけれど、こうして全部エスコートされてみると、なんて心地いいんだろうと思う。
もちろんいつでも甘えたいというわけじゃないけれど、時にはこうしてお姫様みたいに扱われるのはご褒美みたいで嬉しい。
すでに満足してしまっている私をよそに、佐伯さんは見えてくる建物や風景の説明をしてくれた。
どれも知らなかった話ばかりで、私はうんうんと頷いて感心していた。
「いろんなこと、よくご存知ですね」
「でしょ……って言いたいけど。実はデートの下調べしてたら、自然に入ってくる情報がほとんどだよ」
「そうなんですか」
「一応、格好つけたいじゃない。せっかくのデートなんだから」
(そんな本気モードで考えてくれたんだ)
なんだか胸の奥があったかくなる感じがして、私はそのじんわり沁みてくる優しさを味わった。
そして、この感覚こそが”大事に扱われる”ということなんだとぼんやり思う。
(知らなかったな。相手の機嫌を気にしないで、こんなにもゆったりできるデートがあるなんて)
改めてそんなことを思いながら、その後も私は佐伯さんの話してくれる楽しいお話に耳を傾けた。
飲み物の心配も、目的地への行き方も、お店の下調べも、圭吾と付き合っている時は全部私の役割だった。
運転をお任せするのだからそれは私の役目なんだろうと疑いもしなかったけれど、こうして全部エスコートされてみると、なんて心地いいんだろうと思う。
もちろんいつでも甘えたいというわけじゃないけれど、時にはこうしてお姫様みたいに扱われるのはご褒美みたいで嬉しい。
すでに満足してしまっている私をよそに、佐伯さんは見えてくる建物や風景の説明をしてくれた。
どれも知らなかった話ばかりで、私はうんうんと頷いて感心していた。
「いろんなこと、よくご存知ですね」
「でしょ……って言いたいけど。実はデートの下調べしてたら、自然に入ってくる情報がほとんどだよ」
「そうなんですか」
「一応、格好つけたいじゃない。せっかくのデートなんだから」
(そんな本気モードで考えてくれたんだ)
なんだか胸の奥があったかくなる感じがして、私はそのじんわり沁みてくる優しさを味わった。
そして、この感覚こそが”大事に扱われる”ということなんだとぼんやり思う。
(知らなかったな。相手の機嫌を気にしないで、こんなにもゆったりできるデートがあるなんて)
改めてそんなことを思いながら、その後も私は佐伯さんの話してくれる楽しいお話に耳を傾けた。