極上御曹司は懐妊秘書を娶りたい
「……ようやく会えたな、光莉」
 愛おしいものを呼ぶ声音で、景光さんが娘の名前を紡ぐ。二人で決めて、景光さんのご両親に太鼓判を押してもらった名前。私がどうしても景光さんの名前から字を貰いたいと駄々を捏ねて決まった、私たちの宝物の名前。
 私は景光さんの肩に頭を預け、光莉の手に触れてみる。これが、私の家族。これからずっと私の傍にあるもの。
「……もうこれ以上、何も要らないかも」
「相変わらず無欲だな、君は」
 私の独り言を拾い上げて、景光さんが喉を鳴らす。おかしくて仕方がないというような、くすぐったそうな笑い声が、彼の腕の内側だけに届いた。
「――――これから、両手で持ちきれないぐらいの幸せがやってくるのに」
 景光さんが、その大きな手のひらで光莉を支える。私の手と彼の手に包まれた光莉は、心なしか安心したようにふにゃりと表情を緩めて。
 そうして、ちゅ、という甘やかな音と共に、唇に愛おしい熱が触れたのだった。
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