ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 病棟にいそいそと戻り、ナースステーションの奥にある休憩室へ向かう。

 椅子にどかっと座り、ハンカチで汗を拭き、「私、カレー臭いですよ~」とエレベーターの中と同じことを周りに宣言し、ドリアにスプーンを突っ込んだ。

 糸を引くチーズが愛しい。ドリアをのせられるだけのせたスプーンを口に入れる。
 うん、間違いない。辛いカレーのトゲトゲしさを、チーズがまろやかに包んでくれる。

「高場さんのドリア、美味しそうね」

 四十代の主任看護師が微笑ましそうに私を見る。そう言う彼女のお弁当は、玄米ご飯と手作りの野菜スープ。その総カロリーは私の昼食の半分にも満たないだろう。

「美味しいです!」

「それにしてもたくさん食うなあ。そんなんじゃ彼氏できないぞ?」

 同期の男性看護師が、あきれた顔で後ろを通った。彼はいつも自分でお弁当を作ってくる強者だ。私がコンビニに行っている間に食べ終わったようで、歯磨きをしようとしている。

 彼氏ができない? 余計なお世話だよ。

「今日は特別お腹が空いたんだよ。ほら、午後も手術の出棟があるでしょ。あのちょっと気難しい近藤さんの。戦うために力をつけないと」

< 6 / 171 >

この作品をシェア

pagetop