ぽっちゃりナースですが、天才外科医に新妻指名いただきました

 しかし、研修医はそのうち正式なドクターになる。つまり、仕事上では看護師に指示を出す立場。今から関係を悪化させると、この人がドクターになったときに自分の立場が悪くなるかも。

 ……と考える看護師が多いから、私も言い返せないと思って、平気でひどいことを言うのだろう。

「デブですみませ~ん」

 自分が急に動くからじゃん。

 怒りを隠して明るく謝り、配薬車に急ぎ、さっさと薬をゲット。こんな人をいちいち相手にしている暇はない。

「あ、ねえ」

 原研修医の声が背後でした。自分が話しかけられたのかと思って振り返ると、彼はかわいくて細い新人看護師の藤井さんに声をかけていた。

「今から進藤先生が来て、この患者さんの処置をするんだけど。担当の高場って誰?」

 いきなりタメ口かい。私の怒りメーターがまたひと目盛上昇した。

 なによ、用事あるんじゃん。話す相手を選んでる暇ないでしょうよ。

 藤井さんは忙しそうな手を止め、原研修医が指さした患者の名前を見て、こちらに手のひらを差し出した。

「高場さんはあちらの方です」

 礼儀正しい彼女は、なにも悪いことはしていない。でも、今はやめてほしかった。

 仕方ないか。運が悪かったと思うしかない。

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