【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 そんなことを思いながら、秘書室を探す。

「えっと……」

 こんな広いフロアなのに、人の気配がない。
 宮ノ入(みやのいり)ほどの大会社。秘書室だって、相当の規模のはずだ。
 それが、しんっとしていて、私の足音がやたら大きく響いた。

「沖重です。失礼します」

 社長室の隣に秘書室を見つけて、ドアをノックする。
 部屋の中には、デスクの他にソファーとテーブル、ミニキッチンが別部屋にあった。
 ミニキッチンの棚に、マイセンのティーセットとウェッジウッドのティーセット、ハロッズの紅茶などが並べられ、いつでもお茶を出せるようになっている。
 秘書室だけで、社長並みの部屋の広さがある。
 しかも、秘書室というけれど、正しくは『社長付き秘書の個室』だ。
 ここは会長室と社長室のみのフロアで、一つ下のフロアが役員専用となっていた。

 ――住む世界が違うって、きっとこういうことを言うんだろうな。

 二度と来ることもないだろうと思って、観光気分で秘書室を眺めていた。
 その私の背後で声がする。

沖重(おきしげ)美桜(みお)さんですね? 社長秘書の八木沢(やぎさわ)です」
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