【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 ――両親が生きていたら、俺はどんな人生を歩んでいたのか。 

 水を飲みながら、書類を手にした。俺が手にした書類を直真が奪う。

「昼休みですよ」

 直真は俺が限界だと思えば、休ませようとする。
 ここで俺が拒んでも三分後には、直真に説得され、休憩することになる。
 直真の仕事も滞り、時間の無駄だ。

「わかった。外に出てくる」
「はい」

 桜の花が咲いていたのを思い出し、気晴らしに会社の外へ出る。
 社長室の窓から見える公園に、一度行ってみたいと思っていたところだった。
 公園には池があり、桜の花が水面に落ちて揺れている。
 桜の木を眺めながら、道を歩く。
 ベンチが道沿いに並び、風で桜の花びらが舞っていた。そのベンチには、宮ノ入の社員と思われる女子社員が座っていた。
 また、うるさく話しかけられるのかと、うんざりしたが、彼女は文庫本から、少しだけ顔を上げ、会釈しただけだった。
 
 ――空気が静かだ。
 
 彼女は自然で、まるで風景の一部。
 俺は同じように、隣のベンチに座り、桜の花を眺めた。
 その間、お互い言葉はない。
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