【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 お弁当箱やハンカチ、文庫本のブックカバーはシンプルだが、上品で趣味のいいものばかりだ。

「なにか秘密があるのか……?」

 謎の女性、沖重美桜。
 秘密だらけの彼女に、俺の興味は尽きない。
 いろいろ考えを巡らせながら、いつものベンチへ向かうと、今日も彼女はいた。
 疲れているのか、珍しくうたた寝をし、風が運ぶ桜の花びらが、彼女の髪や手、頬に触れ、白い肌の上を滑っていく。
 舞い落ちる花びらの中で眠る彼女は、とても美しかったが――

「危ないだろう」

 目が覚めるまで隣に座っていようと決めた。
 自分もつられ、うとうととしていると、風が強く吹いて桜の花が一斉に散った。

「花が……」

 眠る彼女の上に花が降る。
 それは、幻想的な風景――心が奪われるのは一瞬だった。
 時計を見ると、もうすぐ昼休みが終わってしまう。
 そっと立ち上がったが、彼女をどうしらいいか、考えていると、うっすら目を開けた。

 ――起きた。

 なぜか悪いことをしてしまったような気がして、その場から、早足で立ち去った。
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