【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 その間、俺を数人呼び止めたが、それはぼんやりした声になって、頭に少しも残らず、社長室まで戻る。 
 俺の頭がうまく機能しないのは、初めてのことだった。

「瑞生様? どうしました? 顔が赤いですよ。まさか、風邪ですか?」

 戻った俺の顔を見た直真は、風邪と判断し、水と風邪薬を持ってくる。

「違う!」
「風邪じゃないということですか?」

 直真は不思議そうに首をかしげ、薬を片付ける。

「体調が悪くないなら、それでいいですが」 
「よくないぞ」
「どっちですか!?」

 髪をぐしゃぐしゃとかき上げて、直真を見た。

「なんですか」
「直真。結婚したい女性がいる」

 いつもなら、すぐになにか返す直真だったが、驚いて言葉がでないようだった。
 公園からずっと握りしめていた手を開く。
 その手の中には、彼女の髪に絡まっていた桜の花びらが残っていた――

◇◇◇◇◇

 俺が結婚したい相手。
 それはただ一人だけ。
 けれど、今、俺の前にいるのは、祖父ではなく、マスコミだった。
 待ち合わせ場所に祖父は不在で、ホテルの支配人が祖父からのメッセージカードを持って現れた。
 メッセージカードには――

『夕食会に面白い連中を招待しておいた。楽しめるだろう』

 ――これだけ書かれていた。
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