怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
こうして俺は二年も続いた片想いを実らせることにようやく成功した。
どんなにアプローチをかけても、まったく相手にしてもらえなかった愛しの女性の心と体を同時に手に入れることができたのだ。
『愛してる、優月』
『隠岐先生……』
『‟隠岐先生„? そうじゃないだろ。きみはもう俺の恋人だ。これからは名前で呼んでくれないか。悠正って』
『……悠正さん』
優月に初めて名前を呼ばれた瞬間、俺は喜びに震えた。
ぎりぎりのところで耐えていた理性が脆くも崩れ去る。
おそらく男とこういった行為をするのが初めてだろう彼女に合わせて優しくしようとしていたはずが無理だった。
一心不乱に優月を抱き、俺は歓喜の絶頂の中で幸福な眠りに落ちた。
この瞬間から優月は俺の恋人で、心も体もすべて俺だけのもの。
明日からも当たり前のように触れてキスをすることができるし、それ以上のことだってしてもいい。
そう思っていたけれど……。
『……すみません。覚えてないです』
翌朝目が覚めた優月は昨夜の俺とのやり取りをきれいさっぱり忘れていた。
バーに行ったところまでは思い出せるものの、そのあとの記憶が曖昧で断片的にしかわからないという。