怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
運ばれてきた料理を食べつつ、ふと昨日のことを思い出してぼんやりとしてしまった。頭から追い出すようにふるふると首を横に振り、瑠奈とのランチに集中する。
「それにしても驚いた。先月ここで隠岐先生とのことを聞いたばかりなのに、その一カ月後には結婚の報告をされるなんて。いったいなにがあったの?」
「うん。それがね……」
悠正さんと結婚してから瑠奈と会うのは今日が初めて。メッセージで結婚の報告はしたのだけれどとても驚かれた。当たり前だと思う。
詳しいことはまた今度会ったときに話すと約束したので、今日は私と悠正さんが結婚に至るまでの経緯を瑠奈に説明しなければならない。
とはいえ、この結婚がお互いのメリットのためによるものだと瑠奈に正直に伝えるのもためらわれてしまう。でも、幼い頃からの知り合いの瑠奈を騙すのも気が引けるし、嘘をついてもすぐにバレてしまうような気がする。
考えた末、瑠奈にだけは真実を伝えようと決めた。
「あのね、瑠奈。実は――」
「わかった。もしかして優月、できちゃったんでしょ?」
「え?」
私の言葉を遮るように瑠奈が口を開いた。