怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
母に挨拶をしたとき、本当は私と悠正さんはお付き合いをしていなかった。だから母を騙していたことになる。この結婚だって偽物だ。
《優月が結婚して少し経った頃に悠正さんがひとりでお母さんに会いに来たのよ》
「悠正さんが?」
《ええ。これからは自分が優月のことをしっかりと守るからもう心配ないと言われたわ。お母さんと同じくらいに優月を愛しているから大切にすると言われて、お母さん気が付いたの。いつまでも優月をお母さんだけに縛り付けていてはいけないんだって》
……知らなかった。
まさか悠正さんがひとりで母に会いに行っていたなんて。
私を守ると言ってくれたんだ。
愛しているから大切にする、と……。
その言葉を信じたいのに、あのときの光景をまた思い出してしまう。カフェのテラス席で悠正さんと元恋人が一緒にいた姿がずっと頭から離れない。
そもそもどうして私は悠正さんが元恋人と会っていたことにこんなにも胸を痛めているのだろう。だって私たちは本物の夫婦じゃない。お互いのメリットのために結婚しただけの偽物夫婦だ。だから当然のように私たちの間には愛なんてなかったはずなのに。
――この結婚、最初からちゃんと愛があるよ。