怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
悠正さんは私に愛していると言ってくれた。それなのに元恋人とふたりで会っているところを見て、裏切られたようで悲しくなった。
そんな嫉妬のような感情を抱いてしまったのは、私が悠正さんのことを好きだから……。
弁護士としてずっと憧れの存在だった彼に対して、いつの間にか憧れ以上の感情を抱いていたことにようやく気が付いた。
いや、違う。
もしかしたら初めから、私は悠正さんに恋をしていたのかもしれない。
隠岐総合法律事務所で働き始めて間もない頃、世間を大きく騒がせていた収賄事件を扱っていた悠正さんの姿に強く惹かれた。それは弁護士としての彼に対する憧れの気持ちだと思っていたけれど、きっともうそのときにはとっくに恋に落ちていたんだ。
憧れと恋心をずっと勘違いしていた。
私は、悠正さんのことが好き――。
《優月。これからは悠正さんと幸せにね》
ふと電話の向こうから聞こえた母の言葉にどう返事をすればいいのかわからなくて、私は小さく「うん」とうなずく。
けれど、今の私と悠正さんの気まずい関係を思えば幸せになれるとは思えなかった。