怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
《それじゃあまたね優月。お母さんこれからお花の稽古の時間だから》
「お花?」
《優月が結婚して家を出たでしょ。お母さん、暇になってしまったから、ずっと前から興味のあった生け花を習い始めたの。けっこう楽しいのよ》
「そうなんだ。今度お母さんの活けたお花見せてね」
《ええ。たまには実家にも悠正さんと一緒に遊びに来て》
「うん」
そんなやり取りのあと、母との通話は切れた。
携帯端末を耳から離すと、それをそっとソファに置く。ぼんやりと見つめた視線の先には色とりどりの花が飾られた花瓶が見えて、ふと懐かしさが込み上げた。
入籍した翌日に悠正さんがお祝いだと言って買ってきてくれた花束の花たちは今も変わらずに咲いている。それに対して、私と悠正さんの関係は随分と変わってしまった。
私たちはこのままどうなってしまうのだろう。
ようやく悠正さんへの想いに気が付いたのに、今は彼の気持ちがわからない。
『話をしよう、優月。きみはなにか誤解してる』
悠正さんの言う通りだ。私たちは話し合わないといけないのかもしれない。こうしてひとりでうじうじとしていてもなにもわからないのだから。