怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
『たまたまどこかでばったりと再会して、むかしの恋に火でもついたんだろ』
鏑木さんの言葉を思い出してしまう。
やっぱり悠正さんはまだ元恋人のことが好きなんだ。私を好きだと言った彼の気持ちがまたもわからなくなる。
でも、わからないなら自分で確かめるしかない。この前みたいにふたりから目を逸らしてここから立ち去るだけではなにも解決はしないのだから。
気が付くと私はカフェに向かって進み、店内に足を踏み入れていた。メニュー表の中ですぐに目に入ったキャラメルラテをカウンターで注文すると、それを持ってテラス席に向かう。
悠正さんたちの視界に入らない席を見つけて腰を下ろした。
ここからだとふたりの会話は聞こえないものの、表情はさっきよりもよく見える。
ふたりに笑顔はなかった。真剣に話し合いをしているような重たい雰囲気が流れているように感じ、いったいなにについて話しているのか気になってしまう。
元恋人の前にはノートパソコンが置かれていて、悠正さんの話す言葉に耳を傾けつつ、彼女の指はキーボードの上を素早く移動している。
そのときふと元恋人の襟元に見知ったあるものを見つけた。
この前と同様に彼女の服装はパンツスタイルのスーツで、その襟元には悠正さんと同じ弁護士バッジが輝いている。
どうやら元恋人は悠正さんと同業者のようだ。