怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そのあとも甘いキャラメルラテをちびちびと飲みつつ、時折ふたりに視線を向けて様子をうかがう。
会話が聞こえないのでなにを話しているのかまではやっぱりわからないけれど、ふたりが先ほどからずっと笑顔を見せずに会話を続けているのは変わらない。その雰囲気は元恋人同士というには固すぎるような気もした。
キャラメルラテを半分まで飲んだ頃、私以外にも悠正さんたちに視線を送っている人物がいることにふと気が付く。
全身黒い服を身に着け、帽子を目深に被っている小太りの男性だ。テーブルの上には飲み物が置かれているものの一向に手を付ける気配はなく、見るからに怪しい。
いつの間にか私の視線の先にいるのは悠正さんたちではなくその男性に変わっていた。どうも気になってしまう。
ずっと悠正さんたちのテーブルに視線を向けている男性の目つきは鋭く、テーブルの上に置かれている両手を固く握り締めている。
すると、男性がおもむろに席を立った。イスの下に置いていた黒いバッグを手に取ると、そこからなにかを取り出す。
それを見た瞬間、思わず自分の目を疑った。男性が手にしているのは小型の包丁だ。