怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「これまでの俺の話を聞いて、優月が俺から離れたいと思うなら俺はそうする。このまま一緒にいたいけど無理に繋ぎ止めておくようなことはしたくない」
つまり、私が離れたいと言えば私たちはこのまま本当に離婚をするのだろう。
「私は……」
俯いていた顔を上げて悠正さんを見つめた。けれど、次の言葉が出てこなくて、視線を逸らしてしまう。
もう一度しっかりと自分の気持ちを考えてみる。
今度は冷静に伝えよう。
悠正さんの告白に驚いて逃げてしまったあのときのようにはなりたくない。しっかりと自分の気持ちを伝えないと……。
逸らしていた視線を再び悠正さんに戻してから、私はゆっくりと口を開いた。
「ずっと悠正さんに憧れていました。弁護士として様々な案件に立ち向かって、依頼者さんのことを救っている悠正さんはとてもかっこいいです。そんな方に好きだと言われて、あの日はパニックになってしまいました。それでついごめんなさいと言って逃げてしまって……」
男性から想いを告げられること自体が初めてだったし、その相手が悠正さんだったから余計に動揺してしまった。