怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「優月のことを思えば離れるべきなのかもしれない。だからあのときはああ言ったが、やっぱり俺は優月を手放したくはない。危険な目に合わせてしまうかもしれない。それでも一緒にいたい。こんな俺を優月はどう思う? 自分勝手なやつだって幻滅するよな」
自嘲気味に笑う悠正さんに、私はどう言葉を返したらいいのかわからず俯いてしまう。
雪平さんと一緒になりたいから、私とはもう一緒にいられない。あの日、悠正さんにそう言われたのだと思っていたけれどそうではなくて、彼は私のことを思ってああ言ったんだ。
「そもそもこの結婚も、どうしても俺が優月を手に入れたくて仕掛けたものだ。優月が母親から束縛を受けていると知ってそれを利用した。俺も父から結婚を催促されていたのもあったから、お互いのメリットを上げて結婚を提案すれば優月がうなずいてくれると思った」
以前も同じようなことを言われた気がするけれど、どうやら本当だったらしい。そのことについて私は悠正さんを問い詰めようとは思わない。
私は彼と結婚したことでお見合いをしなくてすんだし、母の束縛から解放されて自由になれた。それは私にとってよかったことだと思っているから。