怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「この前、小野坂さんの自宅に伺ったときに気が付いたけど、きみはお母さんからかなり束縛されているみたいだ。門限とか外泊禁止とか、窮屈じゃないか? お見合いだって無理やり決められたみたいだし、きみはお母さんに逆らえないんだろ」
「それは……」
隠岐先生の言っていることは合っている。
私は母に逆らえない。ずっと言いつけを守って生きてきたから反抗するのが苦手。
「俺と結婚して実家を出ればお母さんから離れられる。束縛からも解放だ」
「……っ!」
その言葉にとても惹きつけられた。
子供の頃からなんでも母に決められて生きてきた。それは私が誘拐未遂事件に巻き込まれたのが原因。だからこれからはもう私のことで母に心配をかけないよう母に言われたことはなんでも守って従ってきた。
でも、お見合いを提案されて結婚相手を決められそうになったとき、そんな自分の生き方に初めて疑問を抱いた。
私はずっと母の言いなりのままでいいのだろうか……。
これは私の人生だ。すべて母に決められるのはもううんざりだし、そろそろ母から自由になりたい。
隠岐先生と結婚すればそれが手に入るのかもしれない。