怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「でも、隠岐先生ならそういうお相手たくさんいますよね?」
「そういう相手って?」
「隠岐先生と結婚したい女性なら周りにたくさんいらっしゃるのかと思いまして……」
「たくさんなんているわけないだろ。きみは俺を遊び人だと思っているのか?」
「いえ、そういうわけではなく。隠岐先生おモテになるので、結婚を申し込めばどんな女性もきっと大歓迎すると思うんです」
昼間の菊池さんと戸田さんとの会話を思い出した。
旦那と彼氏がいるふたりでさえ隠岐先生に心を奪われているのだから、彼の身近にいる独身女性の中には本気で妻の座を狙っている女性がきっとたくさんいると思う。
すぐに結婚したいならその女性たちに声を掛けてみた方がいいと思う。きっと私なんかよりも美人で聡明で、隠岐先生と釣り合いの取れる女性がたくさんいるはずだから。
「それなら小野坂さんが俺を歓迎して、結婚の申し込みを受けてくれないか。俺はきみがいいんだ」
「えっ」
不意に告げられた言葉にドキッと心臓が跳ねた。私がいいって……それはどういう意味なのだろう。
「俺との結婚は小野坂さんにもメリットがあるはずだよ」
「メリット?」
「俺なら今のきみを自由にさせてあげられる」
自由に……?