怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「あのときみたいに酒に酔った優月と甘い雰囲気になったら俺は自分を抑える自信がない。また優月を抱いてしまうかもしれないけど、それでもいいなら酔っていいよ」
「え……」
思わずドキリと心臓が跳ねた。両手に抱えている花束を落としそうになり、慌てて手に力を込め直す。
おぼろげに残る甘い夜の記憶を思い出した途端、一気に頬に熱が集まった。そんな私にさらに追い打ちをかけるように悠正さんが言う。
「あのときの優月すごくかわいかったから」
「ゆ、悠正さん。その話はもう……」
恥ずかしさからかとっさに視線を手元の花束に落とした。
あの夜のことはなるべく考えないようにしている。思い出せない部分がほとんとだけど、悠正さんと体を重ねてしまったときのことだけは断片的にだけど覚えていて、むしろそこの部分だけを忘れたかった。そうしたらこんなにも動揺することはなかったのに。
「あの夜のこと優月はもう忘れてほしいのかもしれないけど、俺は忘れられそうにないんだ」
その言葉とともに、悠正さんの手が私の頭にぽすんと乗った。視線だけを上に向けると、優しく微笑む彼と目が合う。
「たった一晩だけど優月を俺のものにできた特別な夜だったから」
悠正さんの手が私の髪をくしゃりと撫でた。