怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「私も今日は入籍のお祝いにビーフシチューを作ったんです。実家ではよく誕生日などのお祝い事のときに母と一緒に作っていた料理なので、悠正さんとも食べたいと思って」
「そうか。どうやら俺たちは考えていることが同じだったようだな」
そう言った悠正さんの視線が私の手元の花束に向かう。
「確か、前に父から貰ったワインがあるからそれも開けようか」
「はい」
「あっ。でも、待てよ……」
私がうなずいたのを見た悠正さんはなにかを思い出したように呟いた。そして私を見つめながら苦笑を浮かべる。
「優月はほどほどにしとこうな。どうやらきみはアルコールに弱いみたいだから、この前みたいに酔い潰れられたら俺が困る」
「そ、そうですよね」
思い出すのは、悠正さんとバーに行き酔い潰れてしまったあの日のこと。起こしても起きなかった私はだいぶ悠正さんに迷惑をかけてしまった。
「その節は大変ご迷惑をおかけしました」
「いや、もう謝罪はいいよ。それに、困るって言ったのは俺自身の問題だから」
「悠正さんの?」
きょとんと首をかしげると、不意に悠正さんの顔がぐっと私に近付いた。