8月25日(後編)
その証拠に声までもれてしまう。

そうこうしていると、いよいよ足の力が抜けていき、立っていることがつらくなってくる。


そんなわたしの異変に気づいたのか、やっと水樹くんが離れた。


「長いよ…」

「ごめん、つい」

もう全くだ。

なんて思いながらも幸せが溢れる。


「紗良ちゃん、誕生日うちに泊まりにきたら?」

「え?泊まり?」

「うん。考えといて?」

そう言うとわたしの頭に手を乗せて微笑む。


お泊まり、か。

悪くないかもしれない。


それから水樹くんは笑顔で帰って行った。

家に入るとお母さんがリビングから顔を覗かせた。
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