10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 次の日、朝起きたら全身が痛かった。
 昨日はあれから夕飯すら食べそびれて、お腹も減っている。

 先生は呼び出されたまま病院から戻ってきていないようで、思わずホッと息を吐いた。
 なんだか、大和先生と顔を合わせるのが気まずい。

「……昨日は一体、なんだったの……?」

 そうは思うが、『あの約束』はもう破ってはいけないことだけは、脳裏にしっかり刻み付けられた。

 ぼんやりとした頭で、当たり障りのない白のカットソーとネイビーのスカートを選んで履く。

 病院長秘書と言っても重大な事案に私は関わらないことも多いし、服装は割と自由だ。
 カラフルなものはもともとの私の性格上からも避けているが、白とかネイビーとかグレーとか……大体似たような服装になることが多かった。

 私は着替え終わると、またため息をついた。
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