10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~
「なんだったんだろ?」
そう呟いて病院長室に入ると、病院長がそこにいた。私は、おはようございます、といつものように言う。
病院長も顔を上げ、おはよう、と言ったかと思うと、突然頭に手をやり、「はぁ、大和……」と呟いた。
「ふぇ?」
(なんだろう……。今日はずっと先生たちが変だ)
そんなことを思っていると、病院長は息を吐き、真剣な顔で私を見る。
「果歩ちゃん、私が言うのもなんだけど、イヤな時はイヤって言うんだよ?」
「え、あ、はい」
(イヤってなんだろう? 別に病院長にイヤなことをされたこともないけど……)
なんなのかよくわからないけど……。
私は首を傾げて、仕事をはじめた。