10秒先の狂恋 ~堅物脳外科医と偽りの新婚生活~

 その謎は解けないまま、昼に病院の食堂に行くと、「果歩ちゃん?」と女の人に声をかけられた。
 どこかで聞いたことのある声。そう思って顔を上げる。

「やっぱり果歩ちゃん!」
「麻子さん! どうしたんですか」

 そう、大和先生のことが好きだった強メンタル美女看護師さん!
 そんな麻子さんが、うちの病院のナーススクラブを着てそこにいた。

 私が驚いて麻子さんを見ていると、麻子さんは嬉しそうに笑う。

「先週から、ここの産婦人科にいるのよ! 果歩ちゃんに、早く挨拶したくてうずうずしてたの」
「えぇっ! すっごい嬉しいですけど……。どうして?」
「前から決まってたの。聞いてない? 前に飲んだ時も、その話をしようと思ってたのよ」
「そ、そうだったんですか!」

「こっちの方が家から近いし、給料いいし、それにイケメンも多いし」

 そう言って楽しそうに麻子さんは笑って、ここいい? と私の座っている前を指さした。私は慌てて、どうぞ、と言う。

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